うさぎのしらせ

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バス運転手が実際に行うエンジン始動〜出発前までの準備のお話


バスの運転手と聞くと、多くの人は
「ハンドルを握って安全に運転する仕事」というイメージを持たれると思います。


もちろんその通りなのですが、実はバスが動き出す前の“準備の時間”も、とても大事な仕事のひとつなんです。

 

私は普段、出発のおよそ10分前には必ずバスに戻り、エンジンを始動します。


この10分という時間は、ただ
「アイドリングで暖気する」というだけではなく、いろんな意味を持っているんですよ。


車内を快適に整える準備

まずはエアコンを作動させて車内の温度を調整します。


真夏の炎天下に駐車していたバスの車内は、ドアを開けると熱気がムワッと顔にあたるほど高温になっていることもあります。

 

逆に冬場はシートも冷え切っていて、座った瞬間に体温が奪われるように感じます。

 

そんな状態ではお客様に気持ちよく乗っていただけませんよね。


だから出発前にしっかり空調を効かせておき、少しでも快適な空間に整えるようにしています。


特に長距離バスの場合、最初に感じた不快感はずっと尾を引いてしまうので、これは大切なポイントなんです。


バス独特の「エアー」という存在

次に欠かせないのがエアーを溜める作業す。


乗用車を運転される方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、バスや大型トラックはブレーキやドアの開閉に
「空気の力」を使っています。

 

エンジンをかけると圧縮機が動き、タンクに空気が溜まっていく仕組みになっています。


この空気圧が一定の数値に達していないと、ブレーキの効きが甘くなったり、ドアが開閉できなかったりすることがあるんです。

 

つまり「十分なエアーを溜める」というのは、安全運行に直結する大切な準備なんです。


お客様を乗せる以上、「まあ大丈夫だろう」なんて気持ちは絶対に持てません。メーターを確認しながら、しっかり圧が安定するまで待つことを徹底しています。


雨への備えも忘れずに

さらに天候が崩れそうなときにはワイパーの点検も行います。


雨の日の夜道はただでさえ視界が悪いものです。そこにワイパーの拭き残しや油膜が重なると、ライトがギラついて全く見えなくなることもあります。

 

「いざというときにワイパーが動かない」という事態は、命に直結しかねません。


だから出発前にスイッチを入れて動作を確認し、拭き取りの状態もチェックするようにしています。


この習慣のおかげで、実際に助けられたことが何度もあります。


運転席周りの最終チェック

最後に行うのが、運転席周りのセッティングです。


シート位置、ハンドルの高さ、ミラーの角度などを細かく調整します。


バスは一人で専用に使える車ではなく、交代でいろんな運転手が使うため、自分に合うように毎回調整する必要があるんです。

 

小さな違和感でも長時間の運転になると肩こりや集中力の低下につながります。


だから「今日はこの角度だな」と思ったら必ず合わせてから出発します。


これは安全面はもちろん、運転手自身が疲れを少なくするためにも重要な準備なんです。


出発前の10分が大切な理由

こうして書くと、出発前の10分という時間がいかに大切かがわかっていただけると思います。


エアコンで快適さを、エアーで安全性を、ワイパー点検で安心感を、そしてシート調整で運転のしやすさを――。


これらを整えることで「お客様を安全に目的地へ届ける準備」が整うんです。

 

バスが何事もなく定刻通りに出発し、普通に目的地に到着するのは当たり前に見えるかもしれません。


でもその裏側には、こうした小さな積み重ねがあるんだと知っていただけたら嬉しいです。

 

またどこかでお会いできたら嬉しいです。これからも安全運転で★

 

普段はバスの乗務員をしています。過去記事見ていただけると嬉しいです。

しっかり確認して事故防止。今日も安全運転で行きましょう。

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